「iPhoneユーザに問いたいこと」に勢いで答えてみる


  • iPhoneでなにをするの?

素敵でお洒落なiPhoneであることは分かったよ。すばらしいビジネスモデルによるパラダイムシフトかもしれないよ。それはそれとして、iPhoneってツールでしょ?なにができるようになるわけ?お財布やらワンセグやらを諦めたかわりに、ユーザは実質的にどのような幸せを得られるの?Pongができること?YouTubeが簡単に見られること?

おさいふやワンセグはユーザーの求める声に応じて実装されたわけではない。
前者は、キャリアがユーザーのさいふの中で遊んでいる金を巻き上げるためだけに案出されたものである。ユーザーの利便性など一切無視で縄張り争いをしている辺りからして気づけそうなものではないか。
後者は、テレビを見なくなった携帯電話のヘビーユーザーにテレビを抱き合わせ販売するためのものだ。必然性などまったくない。
諦めたのではない。そもそも求めてなどいなかったのだ。
私が欲しかったのは「いつでもどこでもふつうにウェブを見られる機能」である。そしてそれを現状で一番満たしてくれるのがiPhone 3Gに搭載されたSafariだ。iPod touchのそれもよかったが、やはり3Gネットワークがあるとなしでは全然使用感が異なる。
ここでSafariを挙げないあたりに、何か意図的なものを感じる。iPhoneの一番の革新性はSafariである。YouTubeやiPong、ましてやiPod機能すら単なるおまけに過ぎない。

  • iPhoneは二年間の利用に耐えるの?

二年縛りが携帯電話契約のスタンダードになってから、大半の人は「現行機種は二年後も使えるだろうか」と悩みながら購入を検討しているわけだ。iPhoneはどうなの?二年間もあのソフトウェアキーボードを使い続けるの?そういえば去年の今頃、2Gを買った人は3Gをどう思ってるんだろう。来年にさらに革命的な新機種が出ることはないのかな?iPodみたいに毎年買い替えなきゃ駄目?わたくし、そんな金ないよ。

2年縛りが定着してからまだ2年経っていないので、この問いに答える資格のある人間はそもそも存在していない。やはり意図的なものを感じる。
2年間という時間は絶妙である。iPhoneが一年後に次世代機種を発表するのはある意味約束された未来ではあるが、経験則的に、1世代遅れというのはまだ耐えられるものなのだ。1年待って1世代分の進化を体感するより、2年待って2世代分の進化を味わうほうがよりカタルシスを得られるはずである。

  • なぜ既存の日本の携帯電話では駄目なの?

わたくしが一番不満なのは、iPhoneユーザの多くが、日本の携帯電話業界、これまでの機種をバカにしていることだ。なんで?本当にイノベーティブだったら、過去のプロダクトをわざわざ叩く必要ないじゃん。そりゃあ日本は世界で見ればガラパゴスかもしれないけど、そういう市場環境があったわけで、仕方ないじゃん。これまでの携帯電話はなにが駄目だったの?ワンセグを採用したのが駄目だった?iモードが駄目だった?マルチタッチスクリーンを採用しないのが駄目だった?

携帯電話のおかげでとばっちりを受けてきた恨み辛みは確かにある。一部のサイトがUser-Agent判別により携帯端末(電話機とは限らない)には1ファイル4KBの細切れコンテンツしか送ってくれないことに、「欠陥」ではなく「ユーザーフレンドリー」の評価を与えてしまう環境を作ってしまったのは、明らかに携帯電話のせいである。PC以外のモバイル環境でもふつうのウェブを見たい私にとって、「iモード」が足を引っ張っていることはもはや確信に近い。そして、このiPhoneブームに便乗してiPhone対応サイトなどという愚行が流行りそうな気配にも懸念を感じている。
マルチタッチスクリーンなんぞはどうでもよろしいが、電話として使われるよりメール端末として使われる機会のほうが明らかに多い現状で、テンキーを捨てられない既存の日本の携帯電話には失望している。文字を大量に入力するのだから、より入力しやすい環境を志向するのが本来なら当然のはずであるが、いまだにどうにかしようとする動きがまったく見られないのはある意味滑稽ですらある。電話機能が形骸化してもはやメール端末と認識されるようになっても、このままでいくつもりなのだろうか、と。